腱鞘炎とは
骨と筋肉をつないでいる“腱”と腱を包む“腱鞘”と呼ばれる組織に
摩擦が生じることによって炎症が生じる症状のことです。
腱や腱鞘は全身のさまざまな部位に存在していますが、
症状は主に動きの多い手首や指に発症します。
多く見かけるものでは、スマホの使い過ぎなどによって
手首の母指にある腱鞘に発症する“ドケルバン病”や
指の腱鞘に発症する“ばね指”などが挙げられます。
腱鞘炎を発症すると、指や手首に痛みが生じるだけでなく
腱鞘が腫れて狭窄(狭くなる)ため、腱のスムーズな動きが妨げられて
手首や指の動きが悪くなることも少なくありません。
また、周辺の神経を刺激することでしびれが出ることもあります。
病態
腱鞘炎を発症すると、炎症が生じた腱鞘の周囲に痛み、腫れ、発赤などが現れます。
また、腱鞘が腫れることで腱がスムーズに動かなくなり
腱がつながる指の動きが悪くなるのも特徴です。
ドケルバン病では、腱鞘にガングリオンというしこりが生じ
母指が動かしにくくなります。
一方、ばね指は指の腱鞘に炎症が生じるためその指を動かしにくくなり
動かそうと試みると突然ばねのように指が伸びる“ばね現象”
という特徴的な症状が現れます。
また、炎症が悪化すると周囲を走行する神経に刺激を与えて痛みの原因になることもあります。
治療法
急性期(発症から1週間程度)は炎症反応が出現し熱を持っていることがあります。
その際は患部を冷やし炎症反応を抑えることで痛みの軽減につながります。
その後は痛みの出ている腱につながっている筋肉へのアプローチを施します。
電気治療や温熱治療、手技治療によって筋肉の張力を緩和させることで
腱鞘を通る腱の張力も治まり痛みの誘発を抑えることができます。